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外科・血管外科

桐生厚生総合病院外科・血管外科で治療している病気の解説

桐生厚生総合病院外科・血管外科で治療している主な病気とその治療法の解説です。

がん(癌)

桐生厚生総合病院は群馬県がん診療連携拠点病院です。
外科ではがんの外科治療に関して群馬県内の他施設に劣らない充実したスタッフ、医療体制で高度な医療を提供しています。
(がん診療連携拠点病院の詳細については国立がんセンターがん対策情報センターをご覧下さい。)

現在、悪性新生物(いわゆる『がん』)で日本人の約3人に1人が亡くなっています。以前に比べ治る方も増えましたから、実際は日本人の約2人に1人は生涯で一度はがんになるといわれています。したがって決して『珍しい病気』ではありません。また決して『不治の病い』でもありません。適切な時期に適切な治療を受ければ治る病気です。
以下に当科で治療している『がん』について説明します。症状に心当たりのある方は、早めにかかりつけの先生に相談するか、最寄りの医療機関を受診するようにしてください。

外科で治療の対象としているのは、消化器・乳腺の『固形癌』です。
『血液のがん』(白血病など)と異なり『形』(つまり『しこり』)となっているので、それを取り除く治療を行います。
手術による摘出が基本となりますが、病期の進展度によっては化学療法(抗癌剤の治療)や放射線療法を組み合わせながら治療を行います。
各病気の説明・治療法については Minds (医療情報サービス)も参考にしてください。

胃がん(胃癌)

胃癌治療ガイドラインに沿った治療を行っています。(Minds :胃癌胃がん検診へ)
胃にできるがん(癌)です。日本人に多くみられるがんですが近年減少傾向にあります。。
胃がんによる症状としては、空腹時の腹痛、食欲不振、胸焼け感などが挙げられます。早期の胃癌はよく治りますので、思い当たる自覚症状のある方は早めに近くの医療機関へ相談してください。また住民検診も胃がんの発見に役立つので、積極的に検診を受けるようにしましょう。
治療としては早期の症例に内視鏡下手術が試みられていますが、ガイドライン上適応となることは多くなく、進行度にあわせた手術が最も推奨されています。胃と周辺のリンパ節を一緒に摘出する手術を行います。がんのできている場所によって胃を部分的にとる(胃切除術)か全てとる(胃全摘術)かを決定します。
リンパ節転移が広い範囲にある場合は手術の前あるいは後に抗がん剤の治療を追加しています。

大腸がん(大腸癌)(結腸癌・直腸癌)

大腸癌治療ガイドラインに沿った治療を行っています。(Minds : 大腸がん検診大腸癌へ)
大腸にできるがん(癌))です。近年日本では増加傾向にあります。食生活・生活習慣の欧米化によるといわれています。
自覚症状としては、血便、便秘、腹痛などが挙げられます。血便は痔が悪いからだと思っていたら大腸癌だったということがあるので、痔が悪い方は検査を受けることをお勧めします。また便秘も同様で、特に便秘と下痢を交互に繰り返したり、便が細いといった症状の方は大腸癌であることがあります。思い当たる症状がある方は、近くの医療機関あるいは当院を受診することをお勧めします。また胃癌と同様、検診が大切なので受けるようにしましょう。
治療は手術療法が中心です。胃と同様周辺のリンパ節を一緒に摘出する手術を行います。
肛門に近い部位にがんがある場合は人工肛門を造設することがあります。
リンパ節転移が広い範囲にある場合は手術の前あるいは後に抗がん剤の治療を追加しています。
肝臓・肺に転移している場合は手術による摘出か化学療法のいずれか、あるいはそれらの組み合わせによる治療を行っています。

食道がん(食道癌)

食道癌治療ガイドラインに沿った治療を行っています。
食道にできるがん(癌)です。喫煙と飲酒に関連するといわれています。
自覚症状としては、飲み込みが悪い、食事がつかえる、胸が焼けるような感じがするといったものが挙げられます。
お酒・たばこをたくさん嗜む方で、これらの症状に思い当たる方は、検査を受けるようにしてください。
治療は、手術・抗がん剤・放射線を組み合わせた治療を行います。
食道は胸部の深いところを通っている臓器なので手術がやりにくく、胃・大腸に比べて負担の大きい手術となります。
近年、化学療法・放射線療法との組み合わせによって治る率が高まってきています。病気の進行度によってこれらの治療の組み合わせを決定しています。

肝臓がん(肝臓癌)

肝癌診療ガイドラインに沿った治療を行っています。(Minds : 肝癌へ)
肝臓がん(肝臓癌)は肝炎・肝硬変に関連して発生するがんといわれています。
肝臓は沈黙の臓器といわれています。肝炎ウィルスを持っていて肝炎・肝硬変・肝臓がんがあっても症状がなかなか出ないことも多いので、検診などで肝臓の異常を指摘された時は必ず医療機関で精密検査を受けるようにしてください。
また、過去に輸血、刺青、針治療といったことをきっかけに肝炎ウィルスに感染していることがあります。これらに心あたりのある方は一度最寄りの医療機関で診察してもらうことをお勧めします。
肝臓がんの治療は、がんの治療と肝炎・肝硬変の治療の両方を考慮する必要があります。
がん(癌)に対しては内科的治療(ラジオ波による治療・動脈塞栓術など)と手術を組み合わせた治療を行います。
肝硬変などで肝臓の予備力がないと手術で大きく肝臓をとることができなくなるので、内科的治療を組み合わせたバランスのよい治療が重要です。
肝炎・肝硬変の治療も同時に行うことが、その後の肝臓がんの発生をおさえるうえで重要になります。当院では内科の専門医師が治療にあたり、インターフェロン療法・抗ウィルス療法を行っています。

膵臓がん(膵臓癌)

膵癌診療ガイドラインに沿った治療を行っています。(Minds : 膵癌へ)
膵臓にできるがん(癌)です。自覚症状が出にくいため、膵臓がんは早期発見が難しく進んだ段階で発見されることが多くなります。
治療の中心となる手術は大がかりなものになります。手術前の処置、手術後の回復に時間を要するのが特徴です。
主な症状である黄疸がある場合は、黄疸値を下げる処置(経皮経肝胆道ドレナージ術・内視鏡的逆行性胆道ドレナージ術)を手術前に行います。手術は、膵頭十二指腸切除術という時間のかかる手術が多くの場合に必要となります。
手術後、抗がん剤の治療を追加することがあります。

胆道がん(胆道癌)(胆嚢癌・肝門部胆管癌・中下部胆管癌)

胆道がんは肝臓と十二指腸をつなぐ胆汁が流れる胆管・胆のうにできるがん(癌)です。胆管の周囲には動脈・門脈といった血管が複雑に立体的に位置しているので、構造的に手術が難しい場所です。(特に肝門部胆管癌)
胆道癌は抗がん剤が効きにくいこともあり手術が最も期待できる治療法ですが、複雑な構造がゆえに手術はかなり高度で患者さんには負担の大きいものとなります。
膵臓がんと同様、黄疸がある場合は黄疸を下げる処置が必要になります。
腫瘍のできる場所が肝臓に近い肝門部の場合(肝門部胆管癌)、あるいは胆のうの場合(進行胆嚢癌)は肝臓を50-70%切除する必要がある非常に負担の大きい手術となります。
膵臓近くの胆管に腫瘍がある場合(中下部胆管癌)は膵臓がんと同様の手術(膵頭十二指腸切除術)が必要となります。

乳がん(乳癌)

乳癌診療ガイドラインに沿った治療を行っています。(Minds : 乳癌へ)
乳がんは近年増加しているがんです。
30・40代から患うこともあり、胃がん・大腸がんと比べ平均年齢が若いことが特徴です。出産の回数、初経年齢、閉経年齢が影響するとされています。
早い段階の乳がんはよく治るので、検診が大切といわれています。とくにマンモグラフィーによる検診が有効であるとされています。なるべく検診を受けるようにしてください。
治療は、手術を主体に病気の進展度によって化学療法・放射線療法を組み合わせて行います。
以前は乳房を全て切除する手術(乳房切除術)がひろく行われていましたが、近年では腫瘍のある乳房の一部をとる乳房温存手術が増えてきています。その場合、手術後に放射線治療を追加するのが一般的です。
またリンパ節転移がある場合はその程度に応じて手術前か後に化学療法を追加して行います。
また乳がんは女性ホルモンであるエストロゲンに敏感であることが多いので、これを抑制する『ホルモン療法』を追加することが多くなります。
手術後、ホルモン療法などは5年以上続けることが多く、長期の経過観察(再発の有無・ホルモン療法の副作用など)が必要になります。したがって治療は長く継続して通院できる医療機関で受けていただくのがよいでしょう。

桐生厚生総合病院 主な癌の生存率グラフ

良性疾患

良性疾患で代表的な以下の疾患について解説します。

胆石・胆嚢炎

Minds :胆管炎・胆のう炎へ)
肝臓の下に『胆嚢』と呼ばれる胆汁を貯める袋があります。胆汁の成分によっては石ができることがあり、『胆嚢結石(胆石)』といいます。脂質の摂取に関連があるとされています。この石が刺激になり痛みを誘発することがあり『胆石発作』と呼ばれています。
場合によっては、この石が原因で炎症が起こることがあり『胆嚢炎』と呼ばれています。炎症が高度になると、壊死(腐れて胆のうが破れてしまうこと)することがあり、腹膜炎や肝障害になって致命的になることがあります。胆石ができる胆嚢は機能が低下してしまっていることがほとんどなので、有症状(痛み症状=胆石発作)の人は胆のうを摘出するのがよいとされています。
手術は炎症が強くなければ、『腹腔鏡下胆のう摘出術』(カメラを使った傷の小さい手術)を行います。炎症が高度だと腹腔鏡手術が難しくなるので、胆石発作のような症状のある方は早い時期の受診・検査、胆石による痛み症状のある方は早い時期の手術をお勧めします。

そ径ヘルニア

『脱腸』と俗に呼ばれています。子供と老人に多い病気です。薬による治療法がないので、症状がある場合(痛み・違和感など)は治療(=手術)を考えてください。子供は全身麻酔、大人は腰椎麻酔(下半身麻酔)で手術をしています。
以前より入院期間が短縮されてきていますので、治療の負担が減ってきています。
子供は『高位結紮術』というヘルニアの『袋』を縛って切り取る手術を行います。
大人は筋肉の『緩み』が原因なので『メッシュ法』という人工繊維による筋肉の補強術を行います。

急性虫垂炎

『もうちょう』と俗に呼ばれています。虫垂は右下腹部にあるので炎症が起こると右下腹部痛が起こります。
他の腸(小腸・大腸)に比べ虫垂は壁が薄く、炎症が高度になると穿孔(破れてしまうこと)することがあります。場合によっては腹膜炎・腹腔内膿瘍(おなかに膿が溜まる状態)となって命に関わることがあります。したがって中等度以上の場合は手術がよいとされています。軽度の炎症は抗生物質の点滴等で治ることもあります。また右下腹部痛でも虫垂炎ではないこともあります。時に診断が難しい場合もありますが、できれば早い時期の受診をお勧めします。

下肢静脈瘤

下肢静脈瘤とは、下肢の浅い部位に存在する静脈の逆流防止弁が壊れたために、下肢表面の静脈が瘤(こぶ)状に膨れたものです。醜形(見た目の問題)、足のだるさ、こむら返り、むくみなどのほか、下腿の色素沈着や潰瘍(皮膚がえぐれる)などの症状が起こることがあります。根治性の高い治療として、ストリッピング手術、血管内レーザー焼灼術があります。当院では平成25年7月よりレーザー治療を導入し、3泊4日の入院で行っております。下肢静脈瘤の程度や患者さんの希望に応じて圧迫療法や硬化療法なども行っています。

下肢閉塞性動脈硬化症

 動脈硬化により下肢の動脈血流が低下するため、間欠性跛行(歩くとふくらはぎや太ももが痛くなり、休むと痛みが改善する)、足の安静時痛、足の潰瘍、壊死などといった症状(重症虚血肢)が起こります。
 間歇性跛行の場合には、まずは運動、薬物療法を行い、それでも症状の改善がない場合や著しく日常生活に支障がある場合には血行再建術を行います。一方、重症虚血肢は下肢切断の危険が非常に高く、血行再建術が第一選択となります。
血行再建術には外科手術(動脈バイパス手術など)と血管内治療(カテーテル治療)があります。血流障害の原因となっている動脈の部位や程度により適切な治療法を選択します。当科では外科手術、血管内治療とも可能な医師が治療法を検討しますので、適切な治療法を提案できると思います。

外傷

外科では主に腹部外傷を扱っています。交通事故で腹部を打撲すると、見た目は傷がなくても内臓が傷ついていることがあります。これを腹部臓器損傷と言います。以下に代表的な臓器損傷を挙げます。

肝損傷

肝臓は右上腹部にある大きく、かつ柔らかい臓器なので交通事故などで腹部を打撲した際に損傷を受けやすい臓器です。また血液が豊富に流れているので、損傷を受けたときは出血しやすいのが特徴です。したがって重症の場合は生命に直接影響する怖い損傷です。しかも痛みといった症状が出にくいときもありますから、時に診断が難しいことがあります。腹部CT検査・超音波検査が診断に有効です。
肝損傷と診断された場合は、出血がひどくないときは『保存的治療』(手術せず止血剤などの点滴中心の治療)を行います。出血がひどいときは『開腹止血術』(手術)が行われます。損傷部の止血を行いますが、難しい場合はガーゼパッキング(ガーゼを詰めて止血する操作)を選択することがあります。

膵損傷

膵臓は膵液という消化液を作る臓器です。膵液は強い消化力を持っているので、膵損傷が起こると膵液が周囲に漏れて『自分の体を消化』してしまう膵炎という状態になり非常に重篤なことになります。また膵臓周囲の構造は複雑なので手術もやりにくく、治りにくいのが特徴です。ハンドルで腹部を強く圧迫すると、ハンドルと背骨に膵臓が挟まれて潰れて起こることが多いとされています。かなりの腹痛を伴います。
治療は損傷の程度・部位に応じて色々と考えられます。手術が必要になることも多く、その後の治療も長期化することが多くなります。

腸管損傷

腹部を圧迫することによって大腸・小腸が破裂すると細菌を多く含んだ腸内容が漏れるので『腹膜炎』という状態になります。典型的な症状として腹痛・発熱です。自然に治るのは期待しづらく緊急手術となります。

脾損傷

脾臓は肝臓と同様、血液が豊富に流れている臓器です。肝臓とは反対の左の上腹部にあります。肝損傷と同様、痛みが出にくいことがあるにもかかわらず多量の出血をすることがあるのが特徴です。肝損傷と同様出血が多いときは手術(脾臓摘出術)を行います。

以上代表的な腹部の臓器損傷を挙げましたが、実際はそれ以外に手足の骨折・胸部の損傷・頭部の損傷が同時に起こっていることもあり、非常に複雑な病態になることも少なくありません。病態に応じて手術治療以外にも、動脈塞栓術といった血管内治療を選択することもあります。
桐生厚生総合病院外科のスタッフはこれまで救命救急センターでの勤務経験のある医師も多く、交通事故などの多発外傷に対するこれらの治療とその後の全身管理の経験も充分積んでいます。多発交通外傷に対しても最善の治療が提供できる環境を常時整えています。