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放射線豆知識

レントゲンとエックス線

「胸のレントゲン写真を撮りましょう。」と医師から言われたこともあるとおもいます。
レントゲンとはエックス線を発見した物理学者の名前で、他の実験の最中たまたま「物質をいろいろな物を突き抜ける不思議な光線」を発見し、未知の光線だった為、未知の数をあらわす「X(エックス)」の文字を使い仮の名前としてエックス線(X線)と名付けました。
当時多くの学者は彼の発見を称えその光線のことをレントゲン線と呼びました。
その名残から未だエックス線を使った検査のことをレントゲン検査と呼んでいますが、放射線業務の領域ではエックス線検査と呼びます。

W.C.レントゲン博士

放射線の種類

 放射線というと広い意味では電波や紫外線なども含みますが、ふ つうは物質と反応して「電離を起こす」ものを放射線といいます。
放射線の種類により直接的な電離作用と間接的な電離作用を起こさせるものがあります。
医療で用いる直接電離放射線には電子線・陽子線・重粒子線があり間接電離放射線には中性子線・エックス線・ガンマ線があります。特にエックス線とガンマ線は人工的に発生させることができる放射線に対し、放射性同位元素から発生する放射線科の違いで、人の体を突き抜けるなど同じ特徴を持っていることから広く医療の現場で使用されています。

医療と放射線被ばく

現代の医療では放射線検査は欠かすことが出来ない位置を占めています。
一方で、人体に放射線を照射するため放射線被ばくを伴います(医療被ばく)。
このことから患者さは、放射線による影響について少なからず不安を持ちます。
医師は、放射線被ばくによる不利益と検査による利益を考え不利益より利益が上回ると判断し、代替えとなる検査がない場合に放射線検査を選択します(正当化)。
さらに検査を受ける際には少ない被ばく線量で済むように、またなるべく小さな照射範囲になど様々な配慮をしています。

放射線の身体への影響(放射線防護の観点から)

1.確定的影響

 皮膚の紅斑、脱毛、不妊、白内障などがこれにあたります。しきい線量(影響が1%発生すると推定される線量)があります。
放射線の被ばくを一定量(しきい線量)以下に抑えることで防ぐことができます。
通常の放射線検査ではしきい値を超えるような被ばくを受けることはありません。

2.確率的影響

 がん、白血病、遺伝的影響がこれにあたります。
被爆線量が増加するとそれによる影響が発生する確率が高くなります。
100mSv以下の被ばくでは、影響のリスクを検知できないほどわずかな影響と考えらえています。

 

 

医療被ばくの最適化

がんや遺伝性影響では、影響の現れ方が確率的です。
また現在の放射線防護では、低線量域でも多少でもリスクがあるものとして、「リスクを容認できる」ことを基準に、防護のレベルが考えられています。
これが放射線防護の原則として「正当化」「防護の最適化」「線量限度の適用」が重要であると考えられる基盤になっています。
医療被ばくにつきましては、正当化と最適化を考慮する必要がありますが、線量限度は設けていません。医学的に必要であるにもかかわらず、線量限度を設けてしまうと、患者さんが放射線診療を受けることができなくなってしまいます。正当化(前述:医療と放射線被ばく参照) 、最適化が担保されている分には線量限度は設けないというのが認識になっていす。

最適化とは、さまざまな設定によって、結果的に患者さんの検査についてどのぐらいの線量が適切かということを定めることです。必要最小限の放射線量の決定プロセスとして診断参考レベル(DRLs2015)が推奨されています。

*診断参考レベル(DRLs2015)は国または地域の調査を解析し,標準的な体格の患者で典型的な検査ごとの値と標準化された線量評価法を用いて,多くの場合は線量分布の4分の3位点(75パーセンタイル値)の値に設定されています。診断参考レベルは,その値をめざすのではなく,その値を超えた場合に何らかの対応を考える必要があることを意味している。

当院での検査別被ばく参考値

(体型により被ばく線量は増減する場合があります。)

一般撮影

撮影部位
入射表面線量
〈皮膚面〉mGy
撮影部位 入射表面線量
〈皮膚面〉mGy
当院
(計算値)
DRLs2015当院
(計算値)
DRLs2015
頭部正面1.233.0腰椎側面611.0
頭部側面0.822.0骨盤1.23.0
頸椎0.380.9大腿部0.922.0
胸椎正面1.63.0足関節0.170.2
胸椎側面3.26.0前腕部0.090.2
胸部正面0.150.3乳児胸部0.140.2
腹部1.23.0乳児股関節0.140.2
腰椎正面24.0

マンモグラフィ

平均乳腺線量mGy
当院
(実測値)
DRLs2015
1.52.4

CT(CTDIvol:CT線量指数 DLP: CTDIvolに撮影範囲を乗じたもの)

成人当院(装置表示値)DRLs2015
CTDIvol
(mGy)
DLP
(mGy・cm)
CTDIvol
(mGy)
DLP
(mGy・cm)
頭部単純ルーチン 651100851350
胸部1相 835015550
胸部~骨盤1相 10750181300
上腹部~骨盤1相12600201000
肝臓ダイナミック121500151800
冠動脈50700901400
小児頭部当院(装置表示値)DRLs2015
CTDIvol
(mGy)
DLP
(mGy・cm)
CTDIvol
(mGy)
DLP
(mGy・cm)
1歳未満2535038500
1~5歳4060047660
6~10歳4275060850

自然放射線による被ばく

 日常の生活の中で様々な種類の放射線が存在しており、これらを自然放射線と言います。
被ばくには、体の外から放射線にあたる「外部被ばく」、放射線を放出する物質を体の中に取り込み、体の中から放射線にあたる「内部被ばく」があります。
自然放射線による外部被ばくには宇宙線や大地があり、内部被ばくには、空気中のラドンなどや食物があります。日本では平均で2.1mSvの自然放射線を浴びていると言われています。

放射線検査後の家族等の被ばく

 エックス線は体を透過するだけで体内に残留するわけではありませんので、エックス線検査をしたからといって患者さんが放射線を出す体になったわけではありません。
一方、RI検査は体内に放射性物質を投与することから、放射性物質が体外に排出されたり、減衰したりするまでは、家族、特に乳幼児や妊婦などから若干距離をとったり、授乳を控えるなど注意が必要な場合があります。

参考文献

日本アイソトープ協会(http://www.jrias.or.jp/)
放射線医学総合研究所(http://www.nirs.go.jp/info/qa/index)
医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME)(http://www.radher.jp/J-RIME/

放射線って大丈夫で? 日本放射線公衆安全学会
ICRP,2007, Publication103